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今年も1年ありがとうございました!

こんにちは、中村です。春道堂は12月31日から1月2日までお正月休みをいただきます。

 

新年初営業日は1月3日ですが、ありがたいことにご予約にて満席でございます。1月4日以降のご予約やお問い合わせはお正月休み中も大喜びで承りますので、どうぞお気軽にご連絡願います。

 

おかげさまでこの12月は春道堂史上最高に盛況なひと月となりました。今までに経験したことのない膨大なご予約数に、最後まで体力が持つだろうかとの不安も実はありましたが、最終日まで体調を崩すこともなく、心身ともに万全の状態で楽しく営業できたことにほっとしております。

 

 

さて、すでにお知らせしておりますように、春道堂は来年1月31日で閉店となります。語り好きの私ではございますが、閉店についての詳細はブログではあまり語らずに来ました。

 

これは、閉店が決まってもお客様にはいつものように楽しい時間を過ごしてもらいたいとの思いと、私自身が閉店の寂しさ、悲しさからなるべく目を背け、閉店の直前までいつもとかわらず楽しく働きたいとの思いからでした。

 

しかし多くのお客さまに閉店の理由や閉店後のことを尋ねられ、みなさんが私のこの先を気にして下さっていることを痛感しました。

 

年内最終のブログですし、本日より3日間お休みになりますので、この機会に閉店についての話をきちんとしようと思います。

 

 

……

 

 

閉店を発表した後、多くのお客さんや友人に「実家に帰るの?」「入院でもするの?」「移転するの?」と尋ねられました。

 

飲食店は突然閉店するところが多いのに、ずいぶん早くから閉店を発表したので、色々な憶測を呼んでしまったのだと思います。

 

早めのお知らせとなったのは、数ヵ月先のご予約を入れてくださるお客様も多いので、閉店日が決まったらすぐにブログにてお知らせしたのでした。

 

退出の3ヵ月前にはビル側に伝えねばならないので、1月末の閉店日は10月中に決めました。

 

閉店の理由はひとえに私の力不足です。経営的な問題で夏頃から店の進退を考えはじめました。

 

夏は好きな季節なのに頭の中は焦りと不安でいっぱいで常にうつむいていたので、外を歩いても空の青さや風の生ぬるさを味わう余裕もなく、今年の私には夏が欠落していたような気がします。

 

命乞いをするような真剣さで日々起死回生策を考え、色々と試してみたりもしましたが、根本的な経営状態の改善には至らず、閉店の覚悟を決めたのは夏が終わる頃でした。

 

白髪が増え頭が少し薄くなるくらい悩み抜いた末の結論なのに、本当にもうこの店に来られなくなるのだと思うとつらくてつらくて、正式に閉店日を決めることがどうしてもできませんでした。

 

「テレビに取り上げられれば」

「有名人でも来てくれたら」

「毎週貸切をしてくれる人が現れたら」

 

そんな夢みたいなことを考えて、一発逆転を妄想して、ビルへの退店の連絡を1日1日先延ばししていました。

 

お客さんがいる時は元気に過ごせても、店でも自宅でも一人でいると、常に気持ちがどんよりとしていました。

 

店主としてもう畳むしか道がないと判断したのに、個人としての私が感情的な理由で必死に閉店に抵抗していました。

 

自分が二つに分かれてお互いを攻撃しあうような日々は心を蝕み、鏡に映る自分の顔から徐々に覇気が失われて行きました。

 

そんな期間がしばらくあった後なので、閉店日を決めてビルに連絡をするころには、かなり気持ちも吹っ切れていました。

 

閉店はやっぱりどうしたって悲しいですが、残りの3ヵ月、最後の一日まで春道堂をより良い店にするための努力を続けようと、前向きに考えられるようになりました。

 

 

閉店を発表してから、驚くほどたくさんの方に名残を惜しんでいただき、信じられないほどたくさんのご予約をいただき、過分なるお褒めの言葉もいただき、本当にありがたい限りです。

 

だけど、お客さんが悲しむと私もまた悲しくなります。

 

こんなにたくさんのお客さんが春道堂を愛してくれているのに、どうして畳まなければならないのだろう。どうにかして続ける方法があったのではないか。

 

吹っ切れたはずなのに、今でもしつこくもやもやします。

 

 

 

恥ずかしながら今回は私にとって二度目の閉店です。前回は2010年の11月末、6年半続けたごはん屋のような喫茶店のような店を閉めました。

 

前回の閉店時に駆けつけてくれたお客さんが、今回の閉店時にも予約して来て下さいました。なんともありがたくもったいなく、情けなく申し訳ないです。

 

もうこんな気持ちになるのは今回で最後にしたいと強く思います。もしも私がまた店を開くことがあれば、今度は死ぬまで畳みたくはありません。逆に言えば、死ぬまで続けられないような店ならば、二度とやりたくありません。

 

 

前回の店は29歳の時に会社を辞めて入った調理学校の同級生と3人で始めました。調理学校卒業と同時に開店と言うとなんかかっこいいですが、今になって思えばあまりに愚かで安易で幼稚で、飲食業をなめきった開業でした。

 

出資者で責任者は一番年上の私でしたが理念的には3人対等の共同経営という形で運営し、店のコンセプトやデザインをすべて考えたのは同級生のうちの一人でした。

 

しかしその人は開店して半年後にもう一人を連れ前触れもなく店を去り、後には借金とオレンジ色のポップな内装の店とそれとは明らかに不似合いな私だけが残されました。

 

すべての名義人であり店主である私は逃げるわけには行かず、素の自分を封印し、店に自分を合わせ、必死に接客や調理を続けた6年間でした。

 

 

 

前回は他人の作った敷いたレールに乗って窮屈な思いをしたので、今回の店では徹底的に自分の理想だけを追求することを心に決めていました。

 

・完全女性向け

・店内禁煙

・子供の入店制限

・2名から利用できるコース

・苦手な食材の確認

・ご要望や会の趣旨に沿ったメニュー構成

・一組ごとのお品書き

・飲み放題時間の明示

・ビールの泡にスタンプ

・かわいい前菜

・個別の盛り付け

・しっかり手をかけた宴会料理

・余ったお料理のお持ち帰り

・〆に甘いものと温かい飲み物が出る

・お席の時間を制限しない

・飲み放題と飲み放題以外を個別に選べる

・曜日に関わらず予約すれば確実に利用できる

 

 

これはすべて、消費者としての私がこんな店があったらいいなと思っていたものです。こうして改めて見返すと、春道堂は本当に良い店だ、行けるものなら私が行きたいと心から思います。

 

妥協せず、他者の意見に流されず、この3年半自分自身の想いだけに忠実に、思う存分自由に楽しくのびのびと店舗運営に取り組みました。このことには一つとして悔いはありません。

 

しかし、楽しくて良い店なだけでは経営は成り立ちません。経営が成り立たなければ店を畳まざるを得ず、店を愛してくれたお客様に悲しい思いをさせてしまいます。お客さまに愛される店であるほど、閉店を悲しむ人は増えます。

 

店は長く続けることこそが、なにより大切なのだと痛感しました。

 

 

 

春道堂を畳んだ後は、自分の理想と経営を両立させる方法を探る旅に出ようと思っています。

 

旅と言うのはあくまで比喩で、流れ者の料理人になるわけでも遠くの街に引っ越すわけでもなく、おそらく札幌市内のどこかで働きながら、調理と経営の勉強を続けるつもりです。

 

そしていつか、私の理想からぶれないまっとうな料理を提供し、誠実な営業をしつつ、精神的にも肉体的にも経済的にもゆとりをもって働けるお店の構想を作り上げることが出来たら、店主として再び飲食業界に戻って来たいと思います。

 

 

 

この春道堂を毎日ご予約でいっぱいの大繁盛店にすることが私の夢でした。12月はまさにそんなひと月でした。

 

閉店直前になって、いや、閉店直前だからかもしれませんが、12月はその夢がかない、本当に喉から血が噴き出すほど大声で叫びたいくらい嬉しいです。

 

春道堂の店主として過ごせる時間もついに残すところひと月限りとなりました。

 

1月もすでに多くのご予約をいただいております。1月31日の最終営業日まで、春道堂らしく、みなさんの心に長く残るような、おいしくまっとうなお料理とあずましい空間をご提供したいと思っております。

 

 

最後になりましたが、今年も大変お世話になりました。終わりよければすべてよし、私にとって生涯忘れられない、すばらしい一年となりました。

 

おかげさまで最高に良い気分で良い正月を迎えられます。心より御礼申し上げます。

 

来年がみなさまにとってよりよい一年となることをお祈りいたします。

 

それではみなさま、良いお年を!

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